Haruto Kamijo

6 Drawings

2025

上條陽斗

 投げられた野球ボールが描く美しい放物線はピッチャーの被造物ではなく、彼にできることはその現象を理解して飼い慣らすことのみです。パウル・クレーはドローイングを「線を散歩させること」と表現しましたが、私の制作もまた、先立って歩く現象に手綱をつけて、なんとか全体を組織立てるプロセスによっています。

技術の発展と専門分化が進むにしたがって、ものの作り方における、観念的な形相を伝達可能にする「デザイン」と、質料をその通りに形作る「ファブリケーション」は自明に分離されたものとして扱われるようになりました。その極北にあるのが3D CADと3Dプリンタの組み合わせをはじめとする、コンピューテーショナルデザインとデジタルファブリケーションの技術でしょう。私は研究者としてその領域に身を置きつつ、イメージのずっと手前に横たわる現象を愛で、現象との呼応から作られるべき形態を見出すことで制作をします。

記号以前のものの作り方に、現代の技術を用いた過剰な反復を挿入することで、未来の考古学のためのアーティファクトを作ります。

keywords
jacquard weaving、テキスタイル

展示
AWASE gallery × biscuit gallery グループ展『6 drawings vol.3』 2025, 東京